2011年5月6日金曜日

「人事評価は必要か」「まかない」「優秀なエンジニアとは」──ベンチャー経営者が語り合う

 京都で開かれた「Infinity Ventures Summit 2010 Fall」(IVS、2010年12月7?8日)中のセッション「新進ベンチャー経営者が物申す!『最新の経営とはこういうものだ!』」には、はてな代表取締役の近藤淳也氏、芸者東京エンターテインメント代表取締役CEOの田中泰生氏、コロプラ取締役副社長の千葉功太郎氏、ポケラボ代表取締役の後藤貴史氏と佐々木俊介氏の5氏を
迎えた。モデレーターはオプト取締役会長の海老根智仁氏が務めた。「モバゲーとグリーは仲良くしてほしい」(田中氏)、「ベンチャーに人事制度は合ってない」(千葉氏)など忌憚のない意見が次々飛び出し、会場からは拍手や笑い声がこだました。【高杉貴,ITmedia】

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海老根 今日のタイトル(新進ベンチャー経営者が
物申す!「最新の経営とはこういうものだ!」)ですが、すごいテーマですね。またセッションに出てほしいと頼まれたんですが、もうわたしの時代じゃないでしょと。だってこうやって急激に成長してらっしゃる企業も多いし、やはり昔と比べて若手の意識も変わっていると。社員として採用する若手の意識もまったく変わっているんで、経営のスタイル違うんじゃな
いかと思いまして。急成長企業の皆様に集まってもらった次第です。

 まずリラックスしてやってください。では、まず乾杯ということで(グラスビールを掲げ、口をつける)1社1社自己紹介をしていただいてよろしいでしょうか。まずはですね、はてなさんの近藤さん。創業が2001年で、この中で一番古いですね。簡単に会社の紹介をお願いします。


●はてな、「T型コミュニケーション」を促進

 近藤 株式会社はてなの近藤といいます。はてなをご存知の方は多いと思いますが「T型コミュニケーションを促進する」というミッションを掲げていまして、人と人とのコミュニケーションを促進するという側面とそれから、コミュニケーションから生まれる情報をいろんな方に届けようという側面。 rmt Maple Story
それがTの横棒と縦棒ということで、独自の言葉を作っていますが、そういったカテゴリーのWebサービスを提供している会社です。

 主なサービスがブログサービスの「はてなダイアリー」であるとか、ソーシャルブックマークの「はてなブックマーク」ですね。「はてなブックマーク」のほうは、かなりネットの情報で面白い情報が集まってくるサイトとい リネ rmt
うことで、ご覧になられている方多いかと思います。あと、最近ですと任天堂さんと2008年から協業して「うごメモはてな」という少し毛色の違ったサービスをやってまして、ニンテンドーDSiを使ってパラパラ漫画を動かすサイトです。そういったサービスを10個ほどやってまして、位置情報を表示する「はてなココ」ですとか「はてなモノリス」「人力検索はてな」
といったサービスをしています。

 創業が2001年ですのでちょっと新進ベンチャーというより老舗の部類に入りつつあるのかなあと思いますが、2001年京都で創業いたしまして、もともと京都の会社です。今回はようこそ京都へといった気持ちでおります。04年に東京に移りました。それから1回シリコンバレーのほうにアメリカの支社を作りまして、僕自身2
年ほどそちらにおりました。08年に京都に本社を戻しまして、現在京都の開発拠点と東京の営業拠点という形で活動しています。既存のサービスを伸ばしつつ、世界に通用する技術を作ろうと頑張っています。よろしくお願いします。

海老根 まず、1点近藤さんにお聞きしたいのが、10年会社をやられていて最大の壁っていう障害というか波を一つあげるとす
ればなんなんでしょう?

近藤 一番大きかったのは、はてななりの経営スタイルをみつけるところまで少し時間がかかったのかなぁと思っています。先ほど申し上げましたアメリカに行ったりとかあったんですが、アメリカに行っていた2年間というのは会社なりの方向性が試される時だったのかなと思っています。

 僕自身がシリコンバレーに行っ redstone rmt
て子会社立ち上げをしている。社長が東京のオフィスにいないというのはどういうことなんだという状況になったんですけど、そういう中でアメリカから世界に通用する新サービスを立ち上げようとする機会があったんですけど、若干そのとき日本の体制とアメリカの体制とで力が分散するようなところがありまして、日本に戻るという選択の際、このままアメリカで立
ち上げ続けるか、日本に戻って体制作るかって悩む感じでしたね。その時に日本のメンバーと世界に通用するサービスを作ろうと、開発拠点も京都に移して新しい体制でサービスを作り始めていくことにしたんですね。09年10年と随分その体制作りも確立できたので、ここから挑戦というのが始まっていくと思います。

海老根 ということは、古い言い方にな
りますけど技術力を生かしたSaaSみたいな感じと考えてもいいんでしょうか?

近藤 そうですね。

●目指せ!デジタル世界の地主――芸者東京エンターテイメント

海老根 続きまして芸者東京エンターテインメントの田中さんの方から自己紹介、会社紹介おねがいします。

田中 こんにちは、田中泰生といいます。元々東大法学部だ
ったので財務省に行こうと思ってたんですけども、当時ノーパンしゃぶしゃぶ事件ってのがあって、(財務省に)行ったら「ノーパンしゃぶしゃぶに行ってるのは一部の人です」と言われて、こんなプライドのない組織に入れるかボケーと思って民間企業に行きましたと。それで2006年10月に会社を作って、電脳フィギュアというもので世に出たんですけども。買ってな
い人はアマゾンに出てるんで買ってください。9800円です。

 フィギュアを作った後、いろいろやって今はソーシャルゲームを作ってます。僕ら会社としてしたいことは1日も早くデジタル世界の地主になる。地主になりたいです。はい。最近どんなことをやってるかというと、プラットフォームを選ばず、PCでも携帯でも面白くてもうかったら何でもやるぞと
いう会社です。

 最近ですと「おみせやさん」というのをやっていて会員が300万人ぐらいいて、もうかってます。多分モバゲーとかグリーの30分の1くらい(会場から笑い)もうかってます。(やや小さな声)ミクシィで今テストしているものがあって、めっちゃ僕の中で儲かる予定です。(会場から笑い)。

 僕らの製品開発の思想って、技術の会
社とかありますけど、僕らは聞いて面白くて、観て面白くて触って面白くて、伝えずにはいられない、そういった商品を作りたいと思ってます。

海老根 ちょっと1個質問したいんですけど、先ほど田中さん、「プラットフォームを選ばず」っておっしゃってましたけど、現在のプラットフォーム業者をぶっちゃけどう思うのかってのをぶっちゃけていただきた
いなと。

田中 今日、海老根さんに「新進経営者、過激なこと言え」と言われて何いってもいいって前提で、「龍馬伝」を観てほしいって話で、「もう狭い日本で争ってる場合じゃないがじゃ」とか言ってたでしょ。なんか、モバゲーさんとGREEさん、ほんと仲良くしてほしいな。(会場爆笑、拍手の渦)

海老根 どうやったら、仲良くできるんで Ferragamo 靴
すかね。

田中 龍馬伝観たらいいんじゃないですか。モバゲーもGREEも、mixiはちょっと違うけど、僕がやっているソーシャルゲームで言うと世界最高の場だと思うんですよ。集客とかマネタイズとかで。だから、本当に健全に切磋琢磨して、いま日本でやってることを世界で10倍にして、10倍を2で割って5にして。僕らもそっから出てくる、甘い汁を吸いた
いなぁ。(会場笑い)。お願いします。

●コロプラ、「物が動かず、人が動く」コンセプトに

海老根 続きましてコロプラ副社長の千葉さん。

千葉 みなさんこんにちは。コロプラの千葉と申します。新進ベンチャーということできましたが、Grouponのスピードを見ると全然駄目だなぁと思いながらしゃべらせていただきます。

 
実はくしくも2008年10月創業の会社なんですけど、グルーポンより1カ月早く生まれているんですが、早くもこんなに差が付いている。この前までマンションベンチャーでしたが、そこからちょこちょこ人を増やして90名くらいでやっております。やっているものはシンプルにというかシンプルにしたんですが、位置ゲーというのを作っております。うちは独自に作って
、ネットとリアルを融合させたいなぁとの思いでやっておりまして。

 位置ゲーってやられたことある方どのくらいいらっしゃいますか? よろしければ挙手を。(手の上がり具合を見て)まだまだですねえ。頑張んなきゃです。ありがとうございます。

 位置情報を登録して現在位置に絡めて何かゲームの要素が生まれたりとか得があったりとか、
リアルと連動しているので、単純に携帯で遊ぶのではなくて、リアルのお店だったりとか鉄道だったりとか、宿泊施設と絡めて広がっていくというコンセプトがあります。僕はベンチャー業界で携帯のことをやってきたのですが、人が動かずモノが動く世界が確立されたかなと。人が出不精になった10年でもあったかなと思っていて、僕はもっとインターネットの力があ
るんじゃないかなと。じゃあモノが動かず人が動くサービスを作ったらどうかなというのがコンセプトです。あるいはお出かけのきっかけをつくることにこだわりをもって作ってます。

海老根 しつこく同じ質問しますけど、現在のプラットフォーム業者どう思われてます?

千葉 (爆笑の後)全く同じ意見です。というか参入しないで、陰から、が
くぶる震えていたって立ち位置なんですが。プラットフォームに提供するのでなく、ちっちゃいプラットフォーム作って、なんか隙間で立ち位置作れたらいいなと10分の1のプラットフォームを作ってやってます。

 ただ、実はさっきの田中さんの意見と同じで日本の国内で戦ってどうするんだよと。さっきのGrouponさんの話でもそうなんですが、日本から始
まって世界に出ていき標準化したものってホントにないなと思っていて。自分がこだわっているのはアメリカ発のビジネスじゃないからなんですね。ゲームに特化して位置情報ってのはなくって、これって日本ぽいなあと思っているんですよ。なんとか日本勢が世界に出ていけるようにと思っているので、内紛している場合じゃないのになあと思ってます」


老根 位置を基軸としたプラットフォームを目指しているってことでいいんですよね。

千葉 はい。位置に関しては。チェックインですね。

海老根 それともう1つお聞きしたいんですけど、先ほど創業2年で現在100人近いと。これってものすごく大変なことだと思うんですけど、マネジメントのご苦労ってあるんじゃないですか?

千葉 で
も、毎週50人入社するグルーポンさんに何を言えばいいのかって感じですけど。大変ですね。そもそも採用ができないのが大変です。

海老根 とれない?

千葉 とれない。

海老根 社員はどこらへんからとられているんですか?

千葉 普通にあらゆる求人メディアから何から何まで使っててもとれない。ここらへんもさっきのプラ
ットフォームと同様、採用戦争が起こっているのできついですね。

●ポケラボ、平均年齢27.5歳

海老根 ポケラボの共同代表、後藤さんと佐々木さんです。こちらも創業4年。後藤さんが25歳、佐々木さんが27歳と非常にお若くていらっしゃいますが、会社の紹介をお願いします。

後藤 ポケラボの後藤と申します。2007年の11月、私がまだ
学生の時に作った会社になります。今勢いよく増えてまして従業員で70人くらいいる会社です。成長速度もコロプラさんと同じような形で、1年ぐらい前の11月には私と佐々木を含めて4人ぐらいしかいないマンションでやっていたベンチャーでした。非常に若い会社で平均27.5歳くらい。エンジニアとかデザイナーがほとんどを占めているんですけれど、みな20代前半か
ら後半ぐらいの方たちです。事業内容はモバイルソーシャルアプリケーションがメインで、mixiさんとモバゲーさんに合わせて4タイトルを提供しています。今後1月くらいにかけて5?6本出てくるというのが現状になります。

海老根 千葉さんと同様の質問をさせていただきたいんですけれども、社員が急激に増えてらっしゃいますよね。マネジメントの工夫と
か、大変なら大変の一言でもいいんですけれども、そうというものはあるんでしょうか。

後藤 若い会社というのがありまして、ミドルマネジメント層がいないので、すごいかなり苦労しています。

海老根 ポケラボさんのミドルマネジメント層って何歳ぐらい。

後藤 27歳です。

海老根 27歳!

後藤 経験がまだ浅い
方も多いので、難しいところにいます。

海老根 ちなみに佐々木さん、27歳以上の方はいらっしゃるんですか。

佐々木 はい、おります。最高で言うと36歳。まぁ、30代が10?15人くらいでしょうか。

海老根 年上の方のマネジメント大変じゃないんですか。

佐々木 いや。採用の時も子供心というか、若いマインドを持っている
方を採用しているので、そこまで何か問題が起きるってことは今のところないです。

●田中氏「基本的に口だけ出していいのは会社の中で僕だけ」

海老根 今日はですね、最新の経営はこういうもんだというセッションでもありますので、まずお聞きしたいことの1つ目なんですが、自分の会社でやっていて他の会社ではやってないんじゃなかろうかと
思われるような、経営手法やノウハウなんじゃないってことを主観でもいいので2、3披露してもらいたいと思います。それでは近藤さん。

近藤 最近熱いなあというのがまかない。まかないを会社で出しているんですよ。平日に調理スタッフがいて、会社でご飯を出しているんですよ。全員が同じ釜の飯をくうというかご飯を食べているんですよ。先日もNHK
さんが新しい取り組みということで取材いただいて、ニュースなんかでも取り上げられたんですけれども、そういうことやってますね。他社から来られる方が言うには、社食よりもみんながオフィスの中で食べながら話していることがコミュニケーション促進になっています。お腹すいたらいつでも無料で食べられるのでお勧めです。基本は昼なんですが、残っていれば
夜ごはんで食べているような人もいます。

田中 まかない飯とか普通のベンチャーどこでもやってるんじゃないかなぁと思ってたんですよ。僕らみたいな会社なんてたかが携帯のゲーム作るぐらいでミドルマネジメントっていうのかとか思うんですよ。例えば、たかだがゲーム作ってるだけなんで、ミーティングって僕の席の前で複数のホワイトボード立てて
並行してやってて、必要な時だけ僕が指示を出すって感じで。3ついっぺんにやったりとか。

 基本的にうまくいってないところは僕が指示を出すだけなんで、ミドルマネジメントとかいらないし。社員数もジンガとかあほみたいに取ってるらしいんですけど、たかがゲーム作るぐらいでそんなに人を取るって何をやってるんだろうなって不思議でしょうがなく
て(会場から笑い)。おまえらマック食いすぎちゃうんかって(会場大爆笑)。

 だって任天堂とかだって実質社員600?800人とかでしょ。ハードも作ってて。僕はこれからのベンチャーって製品少ないほうがいいと思ってて。少ない製品ででっかく勝つ方がいいって思っていて。組織をコンパクトにして文化を統一して作った方がいんじゃないかなぁと思って
やってたりしてます。ノウハウと言えばノウハウだし、他の会社が何やってるんだろうって感じです。

海老根 文化統一ってどのようにやってるんですか。

田中 僕らの場合、基本的に口だけ出していいのは会社の中で僕だけ。プロジェクトに対して口を出していいのは僕だけ。なんでかっていうと僕がお金を出してリスクを取ってるから。僕以外の
人は全員、手を動かし足を動かし物を作ってくださいと。作るときに知恵を出すか、誰よりも頑張るかが考え方。ネット社会の地主になりましょうといってるだけミッションもシンプルと思うし。

海老根 いつもこんな感じですか。

田中 座ってるのはこの時だけで。「巣鴨プリズン会議」って言って、巣鴨にものすごく汚い喫茶店があって、むっち
ゃ臭い会議室があるんですよ。新しいことを考えるときはここにきて1分でも早く帰るために(会場大笑い)追い詰められた状態で面白いことをぶぁーって言ってそれでアイデア出すのは終了で。その後は会社に帰ったらホワイトボードに立ってやって。ミーティングも立ってやるんで。作ったものはサポートの女の子たちに遊ばせて「つまんない」とか言われると、そ
の話を伝えて(やり直す)って感じ。めっちゃシンプルです。

海老根 モノ作り以外はどういうスキルの人がいるんですか。

田中 モノ作れる人以外はいなくて、営業も広報もいないし。ちょっとだけもうかってきたので経理の人が入ってきましたけど。基本的にスクリプトくらいは全員書けるし。当然デザイナーでも普通の会社のプログラマーくら
いにはFlashのゲーム作れると思います。

海老根 こういった会社で人をたくさん増やすのはあり得ないと。

田中 なんか二人三脚で100メートル走出てるやつみたことないですよね。(会場から笑い)僕からみたらジンガとか数増やしたらラッキーみたいな。僕は数増えると聞くとラッキーで。この業界って、僕みたいなゲーム作るの好きなやつって
幼稚なんで、人増えるとケンカするんですよ。変な三角関係始まったりとか(会場から笑い)。僕らはそうならないように極力人増やさないように。そんな感じですね。

●「最も重要なのはユーザーが幸せになること。次に従業員が幸せになること、最後にステークホルダー」

千葉 まかないはうちも。キッチンがあるんですよ。10人ぐらいが一緒に
できる大型コンロ6口、大型冷蔵庫2台入れて。自炊部ってのがあって。会社で飯を食ってると。飯を食ったり飲んだりパーティーしたりってのが定着していて。意外とみなさんやってるんだなと。立ってる会議、営業がいない。これも共通してました。立ち会議用テーブルがあって15分くらいでぱっとやって。ただ人数多いです。あほっぽいですよね(笑い)。何やって
るんでしょうね。コンパクトにできるんでしょうね。

田中 僕は間引きしているんで。サッカーチームと同じで人取ると減へらそうとしてるんで。間引きするぞ、っていってるんで。定期的には間引きしてます。

千葉 海老根さんの他社でやってないことの話で言うと、位置ゲーに特化している。とにかくこだわりをもっていて。特化型であること。
もう1つが理念ですね。生まれながらにして地域を元気にしたいとの思いがあって。位置ゲーで田舎のシャッター商店街を活性化させられたらいいな、もうちょっと東京から人が動くといいなあと真面目に思っていて、理念を実現するような会社になりたい。思いを本気で考えている、社会貢献性と事業が一致することだと思っているんですけど。もっと日本を強くする
ためには、ITの力で観光だったり移動だったり、内需の力を高めたいなぁと。思いを持ってそう考えを持っている人が集まってる。

海老根 理念や考えを社員にしつこく言う場みたいなものって?

千葉 名刺の裏にべったりと、最も重要なのはユーザーが幸せになること。次に従業員が幸せになること。最後にステークホルダーと書いてるんです。か
なりひどい順番の名刺を外に配ってるんですが。かなり初期段階からやってます。

佐々木 従業員全員が手も出すし、口も出す形でやっています。ワークショップをやりまして、理念や価値観というものをほぼ全員で集まって、こういう会社でこういうことをやっていくんだってことを決めました。全員でやっていこうにしています。

後藤 原則、マ
ネジメント層がクリエイティブなものに関して言うことはないです。全部任せていて、1年前までは自分たちで作っていたんですけど、どんどん任せていこうと。出てくるものに関しては基本的にGOだけだす。ある程度ルールやノウハウがあるのでそれを満たしていれば。コアバリューを決めたワークショップを仕事の場以外でもやっているので浸透していると思います


●従業員の評価制度は?

海老根 事前に聞きますよって言わなかった質問なんですけど、従業員の評価制度が気になるんですけど。

近藤 全員が参加する360度評価。全員が全員にこの半年間の評価を100点満点で点をつける。それを評価の高い人が入れている点数こそ重要であるという計算式を作って最終的な貢献度の点数計算をする。民
主的にというか、たくさんの目を入れた貢献度測定をしてます。それを利益の一定割合をボーナスにするとしているのでボーナス計算に使ってます。

田中 3カ月に1回全員と話をする。良ければ次の3カ月頑張れば給料とか上がるし。悪ければイエローカードで、次の3カ月悪ければレッドで退場。年間数人とかですけど。誰かが何をやってるか僕が見えている
うちは、かい離はないと思うんですよね。100ラインとかなったときにはいい人事コンサルタント雇えばいいのかなと。

千葉 評価制度入れてません。いまだに決め打ちで「おまえはいくらじゃ」と役員がやってます。たぶんベンチャーで人事評価って意味がないんじゃないかと思ってまして。結局こいつが良かった悪かったってのは明確なのに、評価制度を作
っちゃうと数字をいじくりまわしたり制度に合わせちゃう。存在意義がない。

 だったら1人1人とコミュニケーションを密にとってやれればいいんじゃないのかな。300人くらいまでならいけるんじゃないかなあと。デジタルな人事制度はなしでいこうかなと。賞与を半年に1回出していて半期の売上目標に達したら全員1カ月、超過達成した場合は5倍のアクセ
ラレーションがかけられて、5分の1達成したら1カ月増える。最大3カ月まで。ゲーム会社なんだからそういうところがあってもいいのかなと。

佐々木 一応、評価制度は入れてまして。結果と能力と努力をまあ360度評価して、考課査定する。ただすぐ陳腐化する。困ってるところです。いいアドバイスがあれば教えてください。賞与については3カ月に1回出ま
す。

千葉 ちょっと質問したいんですけど、われわれの敵って労働基準法かなと思っていて。

田中 法令順守企業なんで。法律さまさまでやってます(会場から笑い)。制度なんで裁量労働の協定を柔軟に使えればいいなぁと思います。

海老根 うちの場合はB向けなんで、そんなに悩みないですね。

●モンハンやドラクエが出ると
社内の雰囲気が良くなる

海老根 経営上の大きな悩みや今までの危機をどのように乗り越えたか、あるいは乗り越えようとしているか教えてください。

近藤 もっとヒットするサービスを出したい。世の中を良くしているって実感を得られるサービスを生み出したいってのが理想ですね。それは相当難しいなぁと思ってます。年2回ほど開発合宿2泊3
日で行ってます。エンジニアとデザイナーが集まってやってます。テーマに沿ってれば何やってもいいよとやり始めます。ばらばらで作ったものを評価して優秀なものを表彰すると。20個作ったうちの10個ぐらいはサービスとしてできるのかなと思っています。

田中 ぶっちゃけ組織経営なんてどうでもいいんですよ。ベンチャー企業なんで。2年に1回、お客
さんの規模と売り上げと利益が2年に1個ゼロが増えれば、10年後くらいに僕の愛するディズニーとか任天堂とかを叩きつぶせると考えているので、2年に1回ゼロを増やすにはどうしたらいいのか、やらなきゃいけないこといっぱいあるじゃないですか。電脳フィギュアの頃って1万円のモノが1万個売れて1億円になって、今mixiさんやGREEさんのおかげで売り上げがゼロ1
個増えていて、その都度課題があるんですけど。1個1個が課題だし。そのために必要なものを分捕ってくるのが僕の仕事かなぁと思っていて。課題と言えば課題だし、当然と言えば当然ですが。ちょっと禅問答みたいな感じになっちゃいましたね。

海老根 そのために一番初めに必要なことはなんだと。

田中 道ですね。道。孫子も言ってますけど。
麻原じゃないですよ(会場から笑い)。一番大切なのは道を誤らないことだと思っていて、今日僕京都に来たんですけど、間違えて東北新幹線乗っちゃうと青森行っちゃうじゃないですか。方向さえ間違えなければ、時間かければ着くじゃないですか。宝の山がどこにあるかって分からないとどうしようもないですよね。それを探すことが組織のスタートで、道具とかお
金とかを取ってくる…。そういうことを社員には言ってますね。

海老根 ちょっとよく分かんないなあ。道を決めるために必要なものってなんですか。

田中 道って議論しても出ないじゃないですか。当り前じゃないですか、答えが出ればみんな会社を作るはずなんで。青春のぶつけどころを探している若者が僕のところに来ているわけで、僕はその
道を提示しているんですよ。僕が苦しんで勉強して見聞して探すんですよ。で、その見つけた道を走破するために、社員にお前はしご掛けろとかいうわけですよ。

千葉 去年の8月、ドラクエ発売。12月にモンハン発売。全然関係ない話のようなんですが、可処分時間の奪い合い、バッティングが起きていて。ついつい携帯ゲームに目が行きがちなんだけど、遊
ぶものに費やす時間が携帯だったりDSだったり他の物だったりという戦いなんだなと。どう乗り越えるか。ひたすら我慢して。

田中 うちの会社、モンハンのせいでつぶれそうになってますね。

後藤 うちはモンハンのおかげでコミュニケーションが発生してありがたいぐらいで。

田中 うちのめちゃめちゃできるエンジニアが22時間とか
FFやってたりして。

海老根 後藤さんとこは儲かってるわけね。

後藤 昼休みとかみんな狩りに行ってて、僕も欲しいのにどこにも売ってなくて、一緒に狩りに連れてってくださいって感じで。

千葉 何が辛いって、ユーザーの時間も奪われるし社員の時間も奪われるしダブルなんですね、手の打ちようがない。

後藤 モンハンと
かドラクエが出るといろんなコミュニケーションが出たり、研究したり雰囲気が良くなるんです。離職率が低いってのが強みなんですけど、若いために子供っぽい人が多いってのが悩みで。マナーやコミュニケーションがうまくできなかったりって人が多くて、非常に人材が肝な会社なので人事の育成が悩みです。

海老根 キャリアの道筋はどう作ってあげて
るんですかね。

後藤 それがですね、ワークショップを開催して、増えた時にコアバリューとかミッションを共有しているんですけど。そんな感じできたらいいなと思ってるんですけど。

海老根 基本的に全員参加型経営を目指すということなんですね。

●「優秀なエンジニア」とは?

海老根 会場のみなさんからご質問を受けた
いと思っているのですが。

質問者 マイネットジャパンの上原と申します。近藤さんに質問を。Web 2.0世代からすると、はてなさんは変な会社の象徴だと。ただ最近の話をうかがっていると、何かの切り替えがあったんだろうなと。その辺を掘り下げて教えてください。

近藤 僕自身が書いた書籍が「変な会社の作り方」という本で立って会議をす
るとか書いて新進の会社として取り上げられたことがあったんですけど、おっしゃるように変遷しているかなぁと思っています。基本的にエンジニア主体で好き放題モノを作っていればヒットに恵まれると思っていたんですが、それだけでは組織としてはまとまってやっているメリットが生かされないなあと。1個のアカウントで相互的な体験を提供という、はてなとし
ては方向性を定めて集結させないといけないなと感じた次第ですね。

質問者 アライドアーキテクツの西田と申します。優秀なエンジニアの定義と、どういう育成方法を取っているか教えてください。

近藤 技術力が高い。切磋琢磨して技術力を伸ばすカルチャーを作るか、一歩抜け出た技術者を評価できる軸を持っているかが肝かなと。うちでいえ
ば、ユーザーに喜ばれる価値の持ち込みやサービスの作り込みができる人になってほしい。失敗の回数は重要だなと思っていて、失敗したから評価を下げるではなく、当たるのは3割くらいだよと伝えるようにしています」

田中 無茶ぶり経営なんで。一番近い会社はたけし軍団だと思うんですけど(会場から笑い)。「ダンカンこの野郎」みたいな感じで。5
メートル飛べるやつには8メートル死ぬ気で飛べって言うし、3メートル飛べるやつには5メートル飛べっていうし。飛べたやつは自信付けてもっと飛ぶだろうし。落ちたやつは消えていくだけって感じで。ただやってるだけなんですよね。

 ただ、3メートル飛べるやつに10メートル飛ばせると、そいつが落ちたせいで周りが迷惑する可能性があるので、そこの
見極めが僕の一番大事なところなのかなと。飛ばせる幅って、カルチャーとか大事って言うけど、ドラゴンボールの悟空じゃないけど死ぬ気で戦った時じゃないと残らないと思うんですよ。臨死体験とかして、死ぬやつは死ねばいいし、残ったやつはめちゃくちゃ強くなるし、それを繰り返して会社が残ってれば会社は強くなるし、僕かみんなが力がなければ会社が残ら
ない。それだけ。

千葉 セルフマネジメントができる人。育て方ですけど、基本エンジニアがエンジニアを見る。社長はエンジニアですし。2点目は業務の配置をゼネラリスト型にしてなるべく広く回してあげる。3点目は時間を自由にしてあげる。夜や土日のフリーな時間を会社でだらだら過ごしていいよってする。書籍を全部無料にして何でも読んでいいよ
ってな風にする。そこで自然発生的に勉強会とかになるってやっています。余った時間や仕事の時間以外の使い方が自由なんです。

佐々木 モノを作るだけでなく、ビジネスを作れる人が優秀なエンジニアだと思っています。B2Cなので単純にお金だけでなくて、お客様に喜んでいただけることもまで考えることのできる人が優秀かなと思っています。全員が経
営者感覚を持てるようにワークショップですとか、朝会とかでビジョンを持って話せるようにしています。育成はワークショップ、今後定期的にやっていこうと思っています。研修とかはやっていなくて仕事の中で覚えていってもらおうと思っています。


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引用元:arad rmt

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